VNEの先駆者としての実績を持つ、インターネットマルチフィードが解説 ISP事業を始めるなら知っておきたいVNEとIPoEの基礎知識
最近では様々な業種の企業が自社サービスと組み合わせてISP (インターネットサービスプロバイダー) 事業を提供し、売上を伸ばしています。これからISP事業に参入する企業にとって、重要な存在となるのがVNEです。VNEがどのような役割を担っているのか、インターネットの接続方式の変化に触れつつご紹介します。
ビジネスチャンス広がるISP事業
ISPは、個人・法人の利用者がインターネットに接続するために不可欠な存在です。インターネット接続事業そのものの市場は成熟しており、大手ISP事業者さまが再編などにより規模を追求しています。一方で異業種の企業がISP事業に参入し、ビジネスチャンスを拡大しています。
異業種からの参入は、単なる収益の多角化以上の多くのメリットがあります。特に、電気やガスなどの生活インフラ、あるいは監視カメラ、オートロック、少し意外なところではウォーターサーバーなどのサービスを提供する企業にとって、ISP事業は既存サービスとの相乗効果を生み出す可能性が高く、戦略的な価値を持ちます。
ISP事業参入のメリット①:顧客単価の向上
まず、最も分かりやすいメリットは顧客単価の向上です。たとえば、ウォーターサーバーを契約している顧客に対して、インターネット回線をセットで提供することにより、顧客1人あたりから得られる収益が増加します。異なるカテゴリーの商品を組み合わせることは、顧客の利便性を高めつつ収益を拡大する点で非常に有効です。
ISP事業参入のメリット②:リテンション率の向上
次に注目すべきはリテンション率 (継続率) の向上です。電気・ガスなどは、比較的簡単に契約会社を乗りかえることができますが、インターネット回線は一度契約すると、切り替えの手間や工事の必要性などから、長期的に使い続ける傾向があります。これにより、ISPサービスを契約している顧客は、他のサービスも継続して利用する可能性が高まり、結果として顧客の離脱を防ぐ効果が期待できます。先述のウォーターサーバーで言えば、「インターネットとミネラルウォーターのセット割引」がある場合、顧客は両方のサービスを継続するインセンティブを持つことになります。
ISP事業参入のメリット③:事業ポートフォリオの拡充
さらに、ISP事業は事業ポートフォリオの拡充にも貢献します。特に、景気や市場環境の変化に左右されやすい業種にとって、安定した収益が見込める通信事業を加えることは、リスク分散の観点からも有効です。ISP事業は、初期投資や技術的なハードルがあるものの、OEMやホワイトラベルの仕組みを活用することで、比較的スムーズに参入することが可能です。
ISP事業参入のメリット④:サービスの高度化
また、サービスと親和性の高いISPサービスを設計して組み合わせることもできます。例えば監視カメラを提供するサービスを提供している場合、「映像が途切れることがないようにしたい」「セキュリティを強化したい」といった要望があれば、要望に合わせて設計したISPサービスを提供することもできます。
このようにISP事業は、自社で展開するサービスとの相乗効果が期待できます。サブスクリプション型ビジネスのように、既に課金形態が類似するサービスを持つ企業にとっては既存の仕組みを利用してビジネスを拡大するチャンス、逆に売り切り型のサービスを持つ企業にとっては新たに継続的な収入と顧客接点を持つことができるチャンスと言えます。ISP事業への参入は、今後さらにニーズが高まるでしょう。
ISP事業を始める企業が知っておきたいこと①
PPPoEとIPoEの違い
ISP事業を始める企業がまず知っておきたいことは、日本国内で利用者がインターネットに接続するための通信方式です。「PPPoE」方式と「IPoE」方式があります。
PPPoE (Point-to-Point Protocol over Ethernet) とは
かつては電話回線やISDNから「ダイヤルアップ」して1対1のセッションを開通し、インターネットに接続していました。この時代に使われていたのが「PPP」というプロトコルです。その後、ADSLや光回線といったブロードバンドが普及しました。LANケーブル (イーサネット) でインターネットに接続するブロードバンドに対応するため、PPPを拡張したものが「PPPoE」です。
PPPoEの接続方式では、利用者はNTTのネットワークを通じて、「網終端装置」を経由し、ISP事業者さまのネットワークに接続します。ISP事業者さまのネットワークに接続するには、IDとパスワードによる認証が必要となるという特徴があります。
IPoE (IP over Ethernet) とは
IPoEは、企業のLAN環境と同じようにイーサネットの仕組みをそのまま利用してインターネットに接続する方式です。
IPoEの場合、利用者は網終端装置ではなくゲートウェイルーターを経由してVNE事業者のネットワークに接続します。回線による認証でISP事業者さまのネットワークに接続するため、ID・パスワードは不要です。IPoEの場合、ISP事業者さまはVNE事業者のネットワークをローミングする形をとるのが一般的です。VNEについては、後ほど詳しくご紹介します。
IPoEはPPPoEよりも速い?
「IPoEはPPPoEよりも速い」という言葉を耳にすることがあります。PPPoEの接続方式の場合、利用者の通信はISPに接続するために必ず網終端装置を通ります。この網終端装置が混雑する場合があることから、そのように言われることが多いのですが、厳密には正しくありません。
なぜ網終端装置が混雑しやすいかというと、増設のハードルが高いことに理由があります。IPoEの場合は、網終端装置ではなくゲートウェイルーターを経由しますが、比較的増設のハードルが低く、余裕を持った設備設計にしやすいため、混雑しにくくなっています。しかしIPoEが利用者にとって確実に速さを約束してくれるかというと、必ずしもそうではありません。
インターネットに接続する過程では、多数の物理的および論理的なネットワークを経由するため、混雑するポイントは多数あります。たとえば、網終端装置やゲートウェイルーターに到達するよりも前の、エンドユーザーが利用する回線が混雑している場合は、接続方式の違いに拠らず速度は落ちます。
しかしながら、品質の高いインターネット接続を求めるのであれば、仕組み上安定した通信が期待できるIPoEが、より良い選択肢であることは変わらないと言えます。そのため多くのISP事業者さまはIPoEに対応しており、IPoEによる接続を推進しています。
ISP事業を始める企業が知っておきたいこと②
VNEとは何か?ISP事業における役割
それでは続いてVNEについてご紹介しましょう。VNEは、ISP事業者さまがIPoE接続を利用者に提供する際に、ISPに代わってネットワーク設備やその運用を提供する事業者のことです。
異業種からISP事業に参入する場合、莫大な初期投資や高度な技術力を要するネットワークの構築・運用を自前で行うのは現実的ではありません。VNEを利用することで、ISP事業者さまはネットワーク構築の手間やコストをかけずに、すぐに安定したIPoE接続サービスを利用者に提供することが可能になります。
自前のVNEを用いてISPを提供している事業者もありますが、莫大なコストと労力が必要です。異業種からISP事業に参入する場合は、VNEを利用するのが現実的と言えます。一般の利用者が直接VNE事業者と契約することはなく、ISPを介して利用することになります。
なお、VNEを提供する事業者の数は限られており、10社に満たない数となっています。
VNEを利用してISP事業を始める際のポイントと注意点
VNEを利用してISP事業を始める場合、ネットワーク機能以外の部分は自社で準備する必要があります。例えば、以下のような業務です。
なお、これらの業務をサービスとして提供している企業もあるため、アウトソーシングを検討しても良いでしょう。
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企画・営業
提供するサービスのブランディングやマーケティング、価格決定、営業活動など
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制度・法令対応
総務省に対する電気通信事業の届出や、提供するサービス約款の作成など
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エンドユーザー対応
申し込みサイトの開設やサポート体制の構築・運用、請求書発行・決済、レンタルルーターの貸出・在庫管理など
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顧客情報・回線情報の管理
顧客の属性やサービス利用状況、フレッツ回線に関する情報など
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VNEへの委託
契約内容の検討や、契約行為、利用帯域の見直しなど
次にVNEを選定するポイントをご紹介しましょう。たとえば、次のようなものが考えられます。
- サービスオーダー (回線の開通や廃止など) が効率的に行えるか
- 帯域利用状況 (トラフィック) の管理、把握が可能か
- リーズナブルな料金か (スモールスタートが可能か)
- コンサルティングを提供できるか
- 上限帯域は提供したいサービス品質に見合っているか
これらのポイントを踏まえて、自社のサービス内容や運用体制に最適なVNEを選定することが、安定したサービス提供と事業成長につながります。
VNEサービス「transix (トランジックス) 」とは?
インターネットマルチフィードでは、VNEサービス「transix」を展開しています。NTT東日本、NTT西日本のフレッツ網に対応したIPoE方式のインターネット接続を提供しており、ISP事業のスムーズな立ち上げを強力に支援します。
先ほどVNE事業者選定のポイントをご紹介しましたが、transixでは次のような特色があります。
transixの特色
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選べるサービスオーダー投入方法
指定した光回線に対して、ISP接続の開通や廃止などの指示を行う「サービスオーダー」は、ISP事業運用において、もっとも日常的に行う業務の一つと言えます。
transixでは、分かりやすく見やすい「transix portal」 (一般的なWebブラウザから利用可能) から投入する方法と、ISP事業者さまのシステムとREST APIで直接接続して投入する方法の2つから選ぶことができます (併用も可能) 。transix portalからCSVで一括投入することも可能です。 -
トラフィックの管理、把握が容易
詳細な利用状況を非開示としているVNEもありますが、transixでは、ポータルサイトから、運用しているISPのトラフィックグラフやデータをいつでも簡単に閲覧することができ、利用者数や利用動向などに応じた帯域設計に役立てることが可能です。
またトラフィックの管理に関連する機能として、一部のヘビーユーザーの影響によって、その他の利用者の通信品質が低下しないようコントロールする「公平制御機能」が標準で実装されています (上限帯域を設定している場合) 。 -
選べる料金体系でスモールスタートも可能
transixの料金体系は、「ID課金」または「帯域課金」から選ぶことができます。ID課金により、利用者数が少ない状態からコストを抑えてスタートすることが可能です。またトラフィックにある程度のボリュームが見込める場合は、帯域課金を選び、定期的に帯域上限を見直す運用をしていただくことで、品質のコントロールを行いながら、統計多重効果によるコスト圧縮を行うことが可能です。
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導入時のコンサルティング
ISPサービスのプランを設計する際に、「帯域はどのくらい必要か」「自社のサービスの用途に合わせるにはどんなスペックにすればよいか」など、迷うことがあるかもしれません。transixを提供するインターネットマルチフィードは、VNEの先駆け的な存在です。その豊富な経験から、用途に合った最適なプラン作りをコンサルティングします。
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ISP業務全般のサポートも可能
transixは、NTTおよびIIJ系の歴史あるVNEです。IIJでは、前述のような、通信サービスそのもの以外の業務なども含めたご支援が可能です。transixからのご紹介で、ワンストップでのご提供もできますので、まずはtransixの担当者までご相談ください。
まとめ:VNEとIPoEを理解して、ISP事業をスムーズにスタート
以上をまとめると次の通りとなります。
- 異業種からのISP事業参入は、既存サービスとの相乗効果により顧客単価やリテンション率の向上、事業ポートフォリオの拡充など、大きなメリットがある。
- 安定した高速通信を提供するため、PPPoE方式よりも混雑しにくいIPoE方式での接続が好ましい。
- VNE (Virtual Network Enabler) は、ISP事業者さまがIPoE接続をユーザーに提供する際、ネットワークの構築・運用を代行する事業者であり、異業種からのスムーズな参入を可能にする。
- transixは、選べるオーダー方法や料金体系、容易なトラフィック管理機能に加え、専門家によるコンサルティングとISP業務全般のサポートを提供している。
transixでは、最短1か月でISPを開始した事例もあります。VNEを利用して、自社の事業の迅速な立ち上げや付加価値の向上を検討してみてはいかがでしょうか。