光波による商用IXサービスへの取り組みの開始について
インターネットマルチフィード株式会社(略称:MFEED、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木幸一)は、インターネット上の情報流通拠点として、大手インターネットサービスプロバイダ(ISP)と高速で直接接続を行うマルチフィード技術によるネットワークを構築し、大容量コンテンツ配信サービスをいち早く提供してまいりました。
今般、MFEEDでは、ブロードバンド時代のトラフィックの爆発的な増加に対応し、商用で世界初となる光波(*1)による大容量インターネット相互接続(IX)サービス(*2)の提供に向けた取り組みを開始いたします。光波によるサービスを前提とした分散型IXサービスの開始を2001年1月を目処に予定しているほか、光クロスコネクト(*3)技術や光IPルーティング技術を用いた実験用のテストベッドを整備し、国内主要ISP各社とともに共同実験を開始いたします。
1.背景
インターネットが産業・経済および社会生活を支えるインフラストラクチャーとなりつつあるなかで、アプリケーションの多様化、情報の増加とともにDSLやCATVの普及等、インターネット利用環境の多様化、高速化が進展しています。そのためISPによるバックボーンの高速化とともに、インターネットの発展を支える基盤として、ISP相互間において大容量かつ安定したトラフィック交換を行える商用のIXサービスの実現が求められています。
現在のIXでのISP間の相互接続は、各ISPがルータを一か所に持ち寄り、そこに設置されたLANスイッチ等を経由して接続する事で実現されています。この方式では、物理的な場所やLANスイッチの容量の制約等により必ずしも全てのISP間のトラフィック交換に必要な帯域が確保されるとは限りません。
MFEEDでは、テラビットクラスの大容量トラフィック交換を可能にする光波IXサービスの提供を前提とした分散型IXサービスへの取り組みを開始することにより、ブロードバンド時代にふさわしい、新しいIXサービスの提供を目指します。
2.分散型インターネット相互接続サービスの提供
(1) サービス概要
将来の光波による相互接続を前提としたネットワークを整備し、拠点間を跨ってISP相互の接続を可能とする本格的な分散型商用IXサービスを提供します。本サービスを利用するISPは、千代田区大手町にMFEEDが整備する3接続点のいずれかの1拠点にて接続することにより、他の拠点でサービスを利用しているISPともストレスのない安定したトラフィック交換を行うことが可能となります。
本サービスの提供に当たっては、MFEEDが大容量のコンテンツ配信ネットワークの運用を通じて培ってきた高度な管理運用技術を基盤として、高いサービス品質により相互接続ネットワークの運用に当たります。
(2) 提供開始時期
2001年1月に試行サービスの提供を開始し、同年4月より本格サービスの提供を開始する予定です。
なおサービス開始時には@nifty、BIGLOBE、IIJ、InfoSphere、InterVia/DreamNetおよびOCNが、主要な相互接続点として本サービスを利用する予定です。
3.光波によるインターネット相互接続方式の共同実験
(1) 実験の概要
MFEEDが商用IXサービスを提供する各拠点にテストベッドを整備して、NTTコミュニケーションズ株式会社(略称:NTT Com、所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木正誠)、日本電信電話株式会社(略称:NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮津純一郎)および株式会社インターネットイニシアティブ(略称:IIJ、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木幸一)を中心とするIIJグループと共同で、最新の光ネットワーク技術に関する共同実験を実施いたします。
具体的には、3か所の実験拠点間を相互に光ファイバーで結び、高密度波長分割多重(DWDM)装置(*4)を用いた実験環境を構築します。ここで、実験参加各社の有する先端技術および最新の管理運用技術を持ち寄り、次世代の大容量通信に欠かせない光クロスコネクトなどの光伝送装置、光波レベルでの処理技術の検証、および分散拠点数の拡大に際したプロビジョニング技術(*5)の検証を行います。更にネットワークの品質・冗長性の確認とともに、管理・運用技術の確立のための各種テストを行う予定です。
本実験の成果として、ISPにとっては広帯域を占有可能な相互接続環境を得るとともに、インタフェース(Ethernet(1G, 100M, 10M)、ATM(OC-12, OC-3)(*6)、SDH(STM-4, STM-1)(*7)など)についてもISP間で自由に選択可能となる見込みです。
(2) 実験の期間等
本実験は2000年12月から2002年3月までを予定しています。
(3) 今後の実験参加予定者
今回の実験には今後国内を代表する次のISP各社が参加する予定です。
- 株式会社NTTデータ
- 株式会社NTTPCコミュニケーションズ
- 日本電気株式会社
- 富士通株式会社
[本件に関するお問い合わせ先]
インターネットマルチフィード株式会社 広報担当
電話:03-3282-1010
FAX:03-3282-1020
E-mail:info@mfeed.co.jp
資料
1.インターネットマルチフィード株式会社
インターネットマルチフィード株式会社は、大手ISP、インターネットコンテンツプロバイダ(ICP)等の出資により、1997年9月に設立されました。東京都千代田区大手町にて独自のマルチフィード環境によるデータセンターサービスを提供することにより、高速・大容量配信をベースにしたデジタル情報流通拠点を構築しています。
マルチフィード環境とは、増加の一途を辿るインターネット上のトラフィックにより生じる情報の伝達遅延や利用者への到達性の低下を解消し、効率的な トラフィック処理によるコンテンツの高速・大容量配信を実現するネットワーク環境です。
多くのユーザを擁する複数の有力ISPの高速バックボーンとICP、EC事業者等のサーバを100Mbpsクラスの高速で直接接続することにより、インターネット上で 高速かつ大容量のコンテンツの配信を効率的に行う仕組みを提供し、インターネットの利用者が快適にコンテンツにアクセスすることを可能とします。
2. 実験イメージ図
3.用語解説
*1 光波
DWDM方式により多重される一つ一つの波長の光信号のこと。
*2 IX(Internet eXchange)
ISPがネットワークを相互接続し、トラフィックを交換する場。
*3 光クロスコネクト
1本の光ファイバーに波長の異なる複数の光波を重ねて伝送するDWDM技術をベースに、多重化された光信号からある波長の信号を分岐挿入させることで各波長ごとの経路の切換えを可能にする技術。DWDM技術による大容量伝送に加え、網構成に柔軟性と拡張性をもたらし、光ネットワークの効率的な構成を可能とする。
*4 DWDM (Dense Wavelength Division Multiplexing)
高密度波長分割多重方式。波長の異なる複数の光信号を同時に用いて光ファイバーを多重利用することにより大容量伝送を可能にする方式。従来からのシステム/光ファイバーをそのまま利用して、容易に伝送容量を飛躍的に拡大することが可能であり、今後のインターネットの大容量化に必須の技術。
*5 プロビジョニング
顧客の需要を予想し、設備やサービス等のリソースを計画的に調達することで、顧客の必要に応じたサービスを提供できるように備えること。今回の場合は,顧客ISPの接続ポートおよび必要な地点間の波長や帯域を予想し確保することによって、必要なサービスをすみやかに顧客ISPに提供できるよう準備することを指す。
*6 ATM (Asynchronous Transfer Mode)
非同期転送モード。ATMセル(53バイトの固定長データ列)単位で情報のやり取りを行なう高速通信方式。OC-12は622Mビット/秒、OC-3は155Mビット/秒の伝送速度。
*7 SDH (Synchronuos Digital Hierarchy)
国際電気通信連合(ITU)で標準化された、光ファイバーを用いたディジタル伝送システムにおける信号の階層多重方式の国際規格。STM-4は622Mビット/秒、STM-1は155Mビット/秒の伝送速度。
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