インターネット上への日本標準時供給サービスに関する共同研究開始

報道資料

郵政省通信総合研究所
株式会社インターネットイニシアティブ
インターネットマルチフィード株式会社

インターネット上への日本標準時供給サービスに関する共同研究開始

インターネットなどの計算機ネットワークに対する標準時の提供は、 諸外国ではかなり一般的になりつつありますが、我が国におきましては、 実験的に行われてきたのみで、安定に、かつ継続してサービスを提供する ことが確立しておりませんでした。今回、郵政省通信総合研究所(CRL)、 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)と インターネットマルチフィード株式会社(MFEED)は、 CRLが通報する日本標準時をインターネット上にNTP(Network Time Protocol) サーバを公開し、日本標準時をインターネット上に効率良く供給することを 目的として共同研究を開始しました。

この共同研究では、CRLが通報する日本標準時、IIJの提供するネットワーク 運用技術、MFEEDの提供する高速配信環境を互いに組合せることにより、 インターネット上での精度が高く安定した時刻の供給を実現するネットワークの 構築と運用に取り組み、NTPのサービス形態とその運用技術の修得を行います。 共同研究終了後は、その成果を基にして日本標準時を時刻源とするNTPサーバを 早期に公開する予定です。

(共同研究の概要)

  1. 共同研究期間

    平成12年3月末まで

  2. 主な共同研究内容

    • NTPにより多数の利用者へ時刻供給する際の最適な供給網と運用 技術を確立する
    • 時刻情報サーバへの負荷測定を定量的に測定し、制御監視方法を 確立する
    • ネットワーク上での遅延時間を測定し、時刻供給精度の向上に 資する
  3. ネットワーク構成

    CRLにNTP(Stratum-1)サーバを、MFEEDにNTP(Stratum-2)サーバを それぞれ設置し、CRLとMFEED間を専用線を用いて接続する。

問い合わせ先:

郵政省通信総合研究所標準計測部 今村國康

phone 042-327-7613、fax 042-327-6689、

E-mail horonet@crl.go.jp、www URL http://jjy.crl.go.jp/

株式会社インターネットイニシアティブ 広報室 樋笠(ひがさ)

phone: 03-5259-6310 fax: 03-5259-6311

E-mail: press@iij.ad.jp

インターネットマルチフィード株式会社 広報担当

phone:03-3282-1010、fax:03-3282-1020

E-mail:info@mfeed.co.jp

<参考資料>

  1. 用語の説明

NTP(Network Time Protocol)

NTPは、インターネットなどの計算機ネットワークに接続された計算機 内蔵時計の時刻を合 わせるための技術で、その手法は、米国で開発 されたものです。 基本的には、計算機ネットワークに接続された計算機を階層状に接続し、 各計算機は、自分が属する階層内か1つ上の階層のNTPサーバにのみア クセスし、ネットワークで接続される計算機間の時刻同期のための通信 を1つのサーバに集中させない様に考えられた技術です。各計算機の時刻合わせは、双方向通信で行われ、回線による遅延時間を キャンセルして時刻同期の精度を高める様に考えられています。

Stratum-1、Stratum-2

NTPにおける計算機の階層を示すもので、Stratum-1(ストレータム1) が最上位の階層(第1階層)に相当します。  Stratum-2(ストレータム2;第2階層)以下の階層の計算機は、最終的 にはStratum-1サーバの時刻に同期することになります。

日本標準時(JST)

郵政省通信総合研究所が決定し日本全国にお知らせしている日本の標準 時です。その誤差は、数十万年から数百万年に1秒の誤差しかありません。標準 電波(コールサインJJY)やその他の手段で送信され、電話の時刻 サービスや放送局の時報の元としてご家庭に伝えられます。

  1. 今回の共同研究の意義

NTPそのものは、LAN(Local Area Network)内などでGPSを受信して得ら れる時刻信号などを基準にして構築・実用化されたり、外国のNTPサーバ へアクセスすることで可能なことから、我が国でも一般的になりつつあり ます。今回の共同研究は、郵政省通信総合研究所の日本標準時(JST)を 精度よく安定に供給することを目的に実施されるものです。