NTT発のオープンソースソフトウェアGoBGPをインターネットマルチフィード社のJPNAPサービスに導入、運用の自動化を促進し、大幅な効率化を実現

日本電信電話株式会社
インターネットマルチフィード株式会社

NTT発のオープンソースソフトウェアGoBGPをインターネットマルチフィード社のJPNAPサービスに導入、運用の自動化を促進し、大幅な効率化を実現 ~リードタイムが、新規契約で10分の1、設定変更が30分の1に~

日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦 博夫、以下:NTT)とインターネットマルチフィード株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木 幸一、以下:MF社)は、NTTがOSS(オープンソースソフトウェア)として開発するインターネットの経路制御機能を提供する「GoBGP」をMF社が提供するインターネット・エクスチェンジ(IX)[1]サービスであるJPNAPへの適用に向けて連携を行い、商用導入を実現いたしました。GoBGPの自動化機能を活用し、JPNAPのRouteFEEDサービス[2]の運用の自動化を実現することで、RouteFEEDサービスの新規契約におけるリードタイムを10分の1、既存のお客さまからの設定変更オーダーのリードタイムを30分の1に短縮しました。運用自動化により、従来の手動の設定変更でのヒューマンエラーによるトラブルを防ぐことができ、当該運用稼働も10分の1程度に削減することが出来ます。GoBGPのIX事業者向けの商用導入はJPNAPが世界初となります。なお、この成果は、2016年10月にスリランカで開催されるアジアパシフィック地域のIX事業者の会議(APIX [3])で報告いたします。

・背景

インターネットの安定運用のために、インターネットにおけるISPやコンテンツ事業者の相互接続点となる、IXサービスの重要性が高まっており、全世界で600以上のIXが運用されています。MF社のJPNAPサービスは、アジア最大級のトラフィック量を交換するIXであり、インターネットのトラフィック、経路数が年々増加を続ける中、その運用効率やコストが課題となっていました。

NTTは、2012年にオープンソース化したRyu SDN Frameworkの開発や、OpenStackなどのOSSプロジェクトへの取り組みで得られた、ネットワークソフトウェア技術力、OSS開発のノウハウを有しています。MF社は、アジア最大級のIXの運用を通じて、インターネットの経路制御技術に関する高度な知識、運用経験を有しています。この二社が密に連携しながらOSS開発を進めることで、本件を達成することができました。

・技術の特徴

GoBGPは、マルチコアCPUなど近年のハードウェアアーキテクチャの特徴を効率的に利用する実装により、現在のインターネットの経路数、IXサービスに求められる接続数を処理できるスケーラビリティを実現しました。

GoBGPは、従来の人手による運用ではなく、ソフトウェアによる制御を前提とした設計を採用し、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)[4]の提供、設定変更などのソフトウェアによる頻繁なAPI要求を高速に処理できる設計により、容易に運用プロセスの自動化が可能です。また、それらAPIを利用することで、データ解析、イベント通知などの外部システムとも容易に連携することができます。

参考:「GoBGP」サイト:http://osrg.github.io/gobgp/

・今後の予定

今後、NTTでは、GoBGPのオープンソースコミュニティを拡大し、技術の普及促進だけでなく、外部の開発者の皆さまの参画により、データセンタネットワーク、コモディティネットワークハードウェアなどIXサービス以外のユースケースへの適用を目指し、機能拡張、性能向上の一層の加速を目指します。さらに、OSSを活用したビジネスマーケットの拡大も推進し、ネットワークインフラのソフトウェア化に関わる技術発展とビジネスの活性化を目指します。MF社では、GoBGPのRouteFEEDサービスでの運用知見を増やし他のIX事業者へフィードバックをするとともに、今後もインターネットの飛躍的かつ健全な発展を推進し、社会的インフラとしての信頼性向上に寄与するIXサービスの提供に先駆的に取り組んでいきます。

<本件に関するお問い合わせ先>
日本電信電話株式会社
サービスイノベーション総合研究所 企画部広報担当
Tel: 046-859-2032
E-mail: randd@lab.ntt.co.jp

インターネットマルチフィード株式会社
広報担当
E-mail: info@mfeed.ad.jp
URL: http://www.mfeed.ad.jp/

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用語解説


  1. インターネット・エクスチェンジ(IX: Internet Exchange)
    インターネットにおけるAS(Autonomous System。ISP、コンテンツ事業者、企業網等、組織毎のネットワーク)の相互接続点。AS間の経路確立(ルーティングプロトコルによる経路交換)と、実トラフィックの転送を担う。

  2. RouteFEEDサービス
    MF社がJPNAP利用者向けに提供する、複数の接続先と自動的に経路交換を行うサービス

  3. APIX (Asia Pacific Internet Exchange Association)
    アジアパシフィック地域のIX事業者による情報交換や共同検討を行う団体

  4. API (Application Programming Interface)
    ソフトウェアのコンポーネント間で情報をやりとりするためのインタフェース仕様